日本には数多くの資格が存在し、多くの人がその取得を目指しています。しかし、一方で「資格は意味がない」という声も耳にすることがあります。今回は、資格取得が就職・転職に与える影響について、メリットと注意点に分けて詳しく解説していきます。
就職・転職を有利に進められる理由
1. スカウトの増加
リクナビやマイナビをはじめとする就職・転職サイトでは、会員登録する際に保有している資格や業務経験をあらかじめ登録するようになっています。このようなサイトでは、会員が就職したい希望に申し込むだけでなく、企業側からも採用できる可能性の高そうな人に対してオファーを出せる仕組みになっています。 企業側は、会員の前職の業界や保有資格をキーに採用の可能性が高そうな人を検索していますので、就きたい業界・職種に関連する資格を持っていると、“検索のヒット率が上がる＝スカウトの数が多くなる“ようになります。
2. やる気のある人物としての評価
企業の採用担当者は、新卒・中途採用を問わず多くの応募を受けており、日々その対応に忙殺されています。そのため採用担当者は、採用の可能性が低い人にかける手間は最小限にしつつ、本当に就職したいと考えている人に注力したいと思っています。そのような状況の中で、応募者が関連資格を持っていると、就職する可能性が高いと感じさせることができます。
また、「就職してから必要な資格を取得すればよい。」という考えを聞きます。新卒の場合はそれでも良いかもしれませんが、中途採用の場合はそう簡単ではありません。特に、転職したい業界が現職と異なる場合は、“あなたを採用する理由”を作らなければなりません。関連資格を取得することは、「実務経験はないが、できる限りの準備はしてきた。」ことをアピールする材料になります。
3. 目標に向かって努力できる人物としての評価
資格取得は、単に知識を身につけるだけでなく、目標に向かって計画的に努力し、それを達成するという経験を積むことができます。この経験は、就職面接で「計画性がある」「継続力がある」といった人物像をアピールする際に非常に有効です。
就職・転職で役に立たないという意見について
ネット上では「資格取得は意味がある」という肯定派の意見と同様に、「資格取得は無駄・意味がない」という否定派の意見も目にします。資格が万能でないことは承知していますが、ここは冷静に反論したいと思います。
1. 企業のニーズにマッチしていない
全ての資格が、全ての企業にとって魅力的なわけではありません。短期間で取得できる資格や、特別なスキルを必要としない資格は、他の応募者との差別化が難しい場合があります。
就職・転職情報サイトの中には、転職に有利な資格としてMOS（マイクロソフトオフィススペシャリスト）、秘書検定、ファイナンシャルプランナーなどを紹介していますが、私は全く無責任な情報発信だと思います。特権が伴わない簡単な資格を、相手の需要も考慮しないままに勧めているからです。
私が思う“相手のニーズにマッチしている”姿とは、例えばビル管理会社に就職・転職を目指す人が、ボイラー技士 + 危険物取扱者（乙4） + 電気工事士（2種） + 冷凍機械責任者のいわゆる“ビルメン4点セット”を持って面接に臨むような姿です。
企業が求める資格は業界や職種によって異なるため、事前に調べておくことが重要です。
2. アピールの仕方が不十分
資格を取得しただけでは、その効果を発揮することはできません。
志望する会社とアピールする資格がマッチしている場合は、資格を取得した背景や、その資格を活かしてどのような仕事がしたいのかを具体的に説明する必要があります。
また、志望する会社と関係ない資格でも、合格したという“成功体験”をベースに、計画的に行動することができる人物であることや、継続的な努力ができる人物であることを説明する必要があります。
単に「資格をとりました。」と言うだけでなく、ご自身がどのような人物であり、その証拠として資格があるという建付けで説明し、自分の強みをアピールすることが大切です。
資格取得は万能ではない
資格取得は、就職・転職活動において大きな武器となる可能性を秘めています。しかし、資格さえあれば必ず就職・転職できるというわけではありません。資格取得と同時に、自己PR能力やコミュニケーション能力を磨くことも大切です。
まとめ
資格取得は、就職・転職活動において、多くのメリットをもたらす可能性のある取り組みです。しかし、全ての資格が有効であるわけではなく、資格の選び方や活かし方によって効果は大きく変わってきます。自分のキャリアプランと照らし合わせ、最適な資格を選択し、効果的に活用することで、就職・転職活動の成功に繋げましょう。
